第2回ノースアイランドラリー2015 はじめに~

特集記事 / SPECIAL CONTENTS - 2015.07.16

2015年7月1日~7月8日に行われた「第2回 ノースアイランドラリー2015」。

以下は、KTM JAPANのスタッフが参加し、記した旅の記録です。
”NIR ”、すなわち「ノースアイランドラリー」に個人として参加した目線からの記録。
もしラリーというスポーツをご存じなければ、これがその扉を開くお手伝いになれればと願ってやみません。

かなり長いものになりますが、お読みいただければ幸いです。

【はじめに】

このノースアイランドラリー参加記は、あまり『読者』を想定して書かれていません。いうなれば、走った記録と記憶のための記事であり、でももしかしたら共感したり、旅へのヒントとなる人もいてくれるかもしれない、というものです。ですから、猛烈に長い割には、旅の情景をとりわけ描写しているわけではないので、そちらを期待する方にはつまらないかもしれないことをあらかじめお断りしておきます。旅を描くというよりは、記録して思い出すための手帳なのです。

なぜNIRなのか。なぜ、450Rally Replicaなのか。
オートバイがその人にとって【なんなのか】は、かなり違いがあると思います。旅の道具だったり、戦いの道具だったり、愛してやまないパートナーかもしれません。僕にとってのオートバイはちょっと一言では説明できないほど難しい、例えば商売道具でもありますが、生活の糧であるとはいえこれで金もうけをしようとしているのかというと決してそういうわけではなかったりします。そのくらいに割り切れるなら乗ることもないでしょうし。オートバイに乗らずにいたりすることは到底できないほどこの乗り物を溺愛していますし、なかなか思うように乗りこなせない難しさが複雑な感情をこじれさせたりもしています。いずれにしろ、僕とオートバイは切っても切れない仲にあることは間違いありません。同時に、1台の特定のオートバイにこだわるというよりは、数えきれないほどたくさんの様々なオートバイを知り、試し、時には作りこみ、それぞれの魅力を堪能しながら、オートバイにしか作りえないような世界を味わい尽くすのが、僕にとってのこの乗り物の魅力でもあるように思っています。

今の僕は通勤でもバイクに乗り、遊びに行くときに乗り、いじって楽しむためにも所有し、レースのためにも走らせ、移動を楽しむために乗り、ストレス解消にも乗り、ととにかくさまざまな形で多くのバイクと触れ合っています。その割には、実は冒険に踏み出すためのツールとしてのバイク、という使い方はあまりしていませんでした。僕にとってはレースに参加することも、初めての山をバイクで走ることもちょっとした冒険なので、何事もアドベンチャーという感じでしたが、それが驚くほどの距離、見知らぬ土地を走る、いわゆる一般的な意味での冒険となるとなかなか機会がなかったのも事実です。敬遠していたつもりはないのですが。

そんな僕に、旅への扉を開くようなきっかけがありました。それが、NIR=North Island Rallyとの出会いでした。もともとは、主催者からこのラリーへの協賛の依頼が知るきっかけにつながりました。KTMの提供するモーターサイクルの楽しみの中には間違いなくラリーという分野があり、それは僕らがダカール・ラリーを走り続け勝利を連ねてきたことに代表されるように、会社としても強く応援しているスポーツの一つでもあります。ところが、僕自身はこの分野に極めて疎く、この世界に入ってからというもののいろいろな方にその魅力を聞かされながらもなかなか踏み出すことができないでいたもっとも大きなチャレンジの一つでもありました。いや、僕だけではないと思います。時間や費用を考えると、僕よりももっともっとその世界に強いあこがれを持っている方でさえ、なかなか踏み出せずにいる、それがラリーのような気がします。一方で、僕らのオートバイがその魅力を最大限に発揮することができるスポーツの一つであることは間違いないわけですから、それを僕自身が全く知らないままに過ごしていることがどうにも居心地が悪く感じられていたのも事実でした。だから、どうにかしてその現場に行きたい、行って何かを感じてみたい、と思っていたのです。そこに来てたまたま今年、ようやく2回目を迎えたNIRが、サハリンに向かうフェリーの運航合終了するためにこれでおしまいになってしまう、と伝えられました。そして、今年はラリーだけではなく、その雰囲気を味わえるようなツアーも企画されているという話も伺いました。なるほど、そのツアーであればラリーに参加する方にもお会いできるし、雰囲気を少なくとも味わうことができるかもしれない。海外ラリーを自分で味わう貴重な機会だから、これを逃してはいけない、そんな焦燥感から、今年は大会をサポートするだけではなく、ツアーに参加してみます、と声をかけてみたというわけでした。

ところが、主催する媒体、BIG TANK MAGAZINEの春木編集長が、いやいやいや、ツアーじゃなくてラリーに参加しましょう、と強く勧めるではありませんか。そういわれても経験も能力もないから迷惑をかけるばかりですし、と最初は尻込みしていたのですが、そんなことを言っていたら永遠に第一歩は踏み出せません。誰でも最初は初めてですし、もしかしたら本当にこんな機会はないかもしれません。費用だって内容を考えればそうめちゃくちゃに高額というわけではないのでしょうし、時間だって今から準備すればスケジュール出来なくもないはず。人に勧めるにしても、自分が苦しむにしても、まずはやってみないと始まらない、という気持ちがむくむくと頭をもたげて来まして、参加します!とつい手を挙げてしまったのでした。

マシンは、2000㎞というラリー、60%がオフロードとはいえ多くの舗装路もあり、かなりハイスピードになるという話でしたから、一番のマシンはKTMならアドベンチャー。当代きっての冒険マシンですし、その万能さと快適さは僕自身、日本だけではなくスぺインやオーストリアを走りまくって心から信頼しているところです。しかし、確かにそうなのでしょうが、せっかく『ラリー』と名のつくスポーツに参加するのに、KTMらしいモデルを使わないでどうするんだ、という気持ちが一方で僕の心を強く推しています。そう、KTMが誇るダカール=ラリーでの勝利を連ねてきたマシン、450 Rally Replicaです。KTMはこいつをベースマシンに、今年ダカールでの連勝記録を14にまで伸ばしました。ラリーマシンですから、きちんとホモロゲーションされた、つまり公道を走る資格のあるオートバイ。ダカール=ラリーのような超過酷なレースの現場を制してきたマシンですから、もちろんサハリンくらいどうってことないのは明らかです。一方で、同じレギュレーションの中で走るわけではない、つまり自分よりもはるかに大きな排気量のマシンに混ざっての走行がこのマシンにとって同様にこなせるのかは実は誰も経験していないのでわかりませんし、レースのようなシビアではあるけれどもよくメインテナンスされた環境ではなく、一般のお客様と同様のかなり乗りっぱなしに近い環境、つまりマシンにとってのストレスはより大きな環境でどれほどこのマシンが能力を発揮できるのかも興味深いところです。もちろん、僕のようなへっぽこライダーが乗ってこのマシンをどう考えるかというのも現実的には重要なポイントですし、いいフィードバックを出せるのではないだろうか、と考えた次第です。参加者にほかに同じバイクがいないことも間違いありませんでしたから、貴重なデータとしてもここはやはり450 Rally Replicaで行かなくては、という強い思いに駆られたのでした。

 

 

[GROUP] 第2回ノースアイランドラリー2015

KTMイベント情報