第1回 1953年、KTM市販車の歴史はR100から始まった

ブランド・ヒストリー / BRAND & HISTRY - 2012.12.13

KTM本社に保管されている1953年型 R100。 

KTMの創業から遡ること19年。創業者の一人ハンス・トゥルンケンポルツは、オーストリアのザルツブルグから北東に50キロほどに位置するマッティグホーフェンの町で修理工場を開業します。1934年のことでした。その4年後、トルンケンポルツは当時モーターサイクルと自動車生産で大企業に成長していたドイツのDKW製モーターサイクルを取り扱うディーラーとなり、事業を大きく伸長させオーストリアでもその名が轟き始める。 

そして1951年。ハンス・トゥルンケンポルツは自らモーターサイクルの開発に取り組むのです。
2年後ついにそれは完成し、共にKTMを興したエルンスト・クローノライフとともにKTMを始動させました。こうして発売されたのがここに紹介するKTM R100なのです。

綺麗なコンディションに保たれたR100。ティアドロップ型のタンクに描かれた初代KTMのロゴデザインが誇らしげです。前輪にはテレスコピックのフォークを備えているものの、後輪はリジッドマウントされ、路面の衝撃は革製のサドルに着いた2本のスプリングが吸収するスタイルを取ります。
搭載される排気量98cc空冷2ストローク単気筒エンジンは、ロータックス社製のものを使い、前進2段のギアボックスを備えています。その操作は左のグリップを捻るハンドチェンジ、また始動はリコイル・スターターによるものでした。

前後に19インチのタイヤを履くR100は、現代的な尺度で見る100㏄のモーターサイクルより大きな
体躯が印象的。ハンドルは肩幅よりやや広めのフラットな形状で、実用車というよりは、当時の道路環境の中で走りを愉しむべく造られた意図を感じます。
自転車に取り付けるエンジンキットも珍しくなかった当時、最初からモーターサイクルを生み出した点で、現代に続くKTMのストーリーが始まったのではないでしょうか。


 

 

シリンダー、シリンダーヘッドともに丸形が印象的な ロータックス製空冷2サイクル単気筒エンジン。

  

 

 

3馬力を生みだし、最高速度は100km/hまで伸びた、という。 前後にステーを伸ばしたフェンダー。

 

 

 

 

サドルのスプリングを受け止めるリアフェンダー類は堅牢さを主張する造りである。ホイールの曲率とマフラーエンドの角度も見事に調和。 

 

 

 

ステアリングヘッドからハンドルポストを立て、そこに低いハンドルバーを装着。前傾したスタイルから、空気抵抗を嫌ったスポーティーな走りを想起させる。

 



アルミのボディーに小さな灯具を収めたテールランプ。フェンダーとの間にあるラバーシールを入れるなど、品質重視がうかがえる。


1953年、このR100からKTMの歴史が始まった。

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