完走率1%未満。鉄よりタフなオフロードイベント “エルズベルグロデオ レッドブルヘアスクランブル”を 田中太一が振り返る。第1回プロローグ──エルツベルグロデオとは? インタビュー前にまず基礎知識を。

ブランド・ヒストリー / BRAND & HISTRY - 2012.12.18

KTM300XC-Wを駆り見事13位でフィニッシュラインに戻った田中太一さん。レッドブルを片手に雄叫びを上げる。後ろに見える赤茶けた山々が鉱山跡。その中に強烈なルートが設定されている。

KTM300XC-Wを駆り見事13位でフィニッシュラインに戻った田中太一さん。レッドブルを片手に雄叫びを上げる。後ろに見える赤茶けた山々が鉱山跡。その中に強烈なルートが設定されている。

 

 

6月。ヨーロッパはモータースポーツのハイシーズンを迎えます。長い日照時間はイベントを盛り上げる
スパイスとなり、人々を興奮の中へと導きます。オフロードモーターサイクルのイベントとして
ここ近年特に注目を集めているイベントがあります。
オーストリアで行われる“エルズベルグロデオ”がそれです。
6月最初の週末に行われ木曜から始まり、FMXあり、エンデュラクロスあり。
また、元フェ ラーリのF1パイロットで現在シトロエンWRCチームからラリーに参加しているキミ・ライコネンと、エルズベルグロデオのファイナルイベント“レッドブ ル・ヘアスクランブル”で4度
(2010年の勝利を含)という他を圧倒する勝率を誇るKTMのファクトリーライダー、タディー・ブラズシアクが行ったレー ス、“早いのは2輪か4輪か?負けた方が買った車両を綺麗に洗車する”というレーサーの意地をかけたショーイベントある。さらにはアクロバティックフライトのデモもありと、楽しさに上限のないかのようなイベントが続くのです。
ファイナルイベントとして日曜に行われるレッドブル・ヘアスクランブルまで、数千名のオフロード
ライダーと数万人のオーディエンスが集まるビッグイベントが“エルズベルグロデオ”なのです。
このエルズベルグロデオが行われるのはオーストリアの工業都市としても知られるグラーツから北西に車で一時間ほどの距離にあるアイゼンエルツという小さな町。
古くから良質な鉄鉱石を排出する鉄鉱山跡地がその会場へと変わります。露天堀りされたその鉱山跡地は、現在観光スポットとしてもお馴染みで、鉱石専用の巨大ダンプトラックの荷台に取り付けたベンチに腰掛けて巡る鉱山ツアーも人気です。ともかくその広大なスケール感は驚きです。露天掘りによって採掘されたその場所は、岩盤質の表 面が露出し荒々しく乾いた景色を織りなしています。
こんな場所で行われる“レッドブル・ヘアスクランブル”です。行く手を拒むようなルートが次々表れます。鉱石を求めて掘り進んだ場所の「のり面」をよじ 登るルートあり、崖にへばり付くように残る
坑道奥から鉱石を運んだトロッコの線路跡をゆく道あり、周囲に残った自然の地形あり、精製した鉱石クズがうずたかく積もった急峻且つ長いヒルクライムあり、時にトライアル世界選手権でも見るかのような岩山の上りありと、エクストリームエンデューロの原型の全てが整う場所です。
2010年で16回目を数えるこのイベントは、例年通り厳しいコースが設定されています。
その鉱山跡と鉱山周囲に残った自然の地形を組み合わせ、全長40km弱のルート内に20個の
チェックポイント、このルートを4時間のマキシマムタイム内で走るというもの。
なーんだ、平均速度10km/hを割らなければ完走できるのか、と言うなかれ。
長いヒルクライム、ステアケースばかりの上り、ラインを選べないかのようなぬた場など、あらゆる
種類のスタックポイントが待ちかまえる過酷なもので、想像を絶するほど。3000名以上が
エントリーし、1800名が前日の予選に挑み、選ばれたファイナリスト500人がチャレンジした2010年。
制限時間内にフィニッシュにたどり着けたのはたったの15名。どれぐらい厳しかがお解りいただける
のではないでしょうか。
今年、このイベントに初めて日本人ライダーが参加しました。そして主催者も驚く記録を打ち立て
完走を果たしたのです。田中太一さん。元世界選手権トライアルライダーであり、現在はトラアルのデモンストレーション活動やJNCCなどにも参加するオフロードライダー。
彼は4度のエルズベルグロデオのタイトルを手中に収めたタディー・ブラズシアクとはトライアル時代のチームメイトであり、ルームシェアをしながら世界を 戦ったことがあるという経験を持ちます。
オレブロはエルズベルグロデオについて時間をおいた今、もう一度田中さんに振り返ってもらう
ことにしました。厳し い地形をどのように攻略し、完走を果たした田中さんのなにが主催者を驚かせたのか。KTMが行ったサポートは田中さんにとってどのようなものだったのか。
次回からインタビューを通して教えていただこうと思います。どうぞお楽しみに!

セミファイナルとなる予選では鉱山の取り付け道路を使い、ハイスピードバトルでタイムを競う。ファイナルレシオをハイギアードにし、150km/h程度まで最高速が伸びるようにして走るという。見事なウォータースプラッシュを上げた走りは迫力満点。しかしバイクが水没するほど深い水たまりも混在。イベント前までの雨が運命の悪戯をした。

セミファイナルとなる予選では鉱山の取り付け道路を使い、ハイスピードバトルでタイムを競う。ファイナルレシオをハイギアードにし、150km/h程度まで最高速が伸びるようにして走るという。見事なウォータースプラッシュを上げた走りは迫力満点。しかしバイクが水没するほど深い水たまりも混在。イベント前までの雨が運命の悪戯をした。







 

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