2010年11月2日から開催されたEICMA・ミラノショーにおいてKTMは気になるニューモデルの発表を行いました。現段階では日本導入時期、価格等は未定であり、仕様、意匠が日本の騒音規制、排出ガス規制に合致させるために異なる場合が考えられます。しかし、その気になる内容をいち早く紹介したいと考えました。
そこで今回はモデルチェンジを受けたRC8 Rを紹介したいと思います。一言で表現するなら2011年モデルに封入されたのは「正常進化」です。しかしそれは宿命づけられた進歩だといえるのです。
IDMインターナショナル・ドイツ・スーパーバイク選手権でタイトルを獲得したことは記憶に新しいでしょう。
これを含む多くのテストフィールドから得た技術と、過去2年の経験を総動員してKTMのR&DスタッフはRC8 Rを全面的に進化させました。モータースポーツ活動での成果と量産モデルを密接に関連づけるKTMの哲学。それに基づけば、RC8 Rレーシングチームの活動こそ、今回のアップグレードに大きな役割をはたしているのです。
気になるその内容とは……。
これらの結果、RC8 Rはよりファン、よりパワフルなスーパーバイクへと進化したのです!
ハイグロスペイントを採用しイメージを一新した2011年型RC8 R。
ツインプラグとなった燃焼室。理想的な火炎伝播により環境性能、燃費性能を向上させながらパフォーマンスもアップ。
ニューデザインのクランクシャフトアッセンブリー。ビッグエンドに取り付けられるフライホイールの質量にも変更を受けている。
インジェクションシステムも進化させることで燃焼性能をさらにアップ。同時にドライバビリティも向上させている。写真はスロットルボディーアッセンブリー。
より幅広いセットアップを可能にするリンケージのエンドに設けられたエキセントリックカム。
LEDライトを縦に並べたデイタイムランニングライト。
1,パワーユニット+駆動系
75度の挟み角を持つ水冷DOHC4バルブV型2気筒という型式や、ボア×ストロークといった基本的な部分に変更は加えられていません。しかし、回転バランスを見直した新型クランクシャフト、ファインチューンを受けたフライホイールによりさらにスムーズな回転上昇を追求しています。
また、デュアルプラグイグニッションを採用した新型シリンダーヘッドと、磨き抜かれたインジェクションシステムがもたらす正確かつ的確な燃料噴射システムの効果により燃焼環境をより最適化。これによりパワー/トルク、ドライバビリティ双方を向上させています。
駆動系にはアンチホッピング・クラッチを採用することで、シフトダウン時のスタビリティーを上げているのも特徴です。
2,シャーシのトピックス
パワフルなエンジンを活かすには優れたシャーシ性能がマスト。そのモーターサイクル共通の本質を知るKTMの開発チームは入念なテストを繰り返し、新型RC8 R用にまったく新しいサスペンションのセットアップを見出し採用しています。これは単にサーキットでのパフォーマンスを追い求めただけではなく、快適性にも踏み込んだもので、双方でのパフォーマンスの引き上げをもたらすものでした。
同時にリアサスペンペンションにはニューデザインのエキセントリック・リンクをもちいることで、セッティング幅を広げています。
結果的に、ホビーライダーはプロフェッショナルなレーサーのように2011年モデルのRC8 Rの走りを楽しむことを可能にしたのです。
こうした走りの部分に加え、ハイグロスペイントなったボディーパネル、新設計されたシフトギアリンケージ、LED製デイタイムランニングライトの採用など、細部まで魅力と進化の度合を深めたRC8 R。DUNLOP製スポーツ・スマートもRC8 Rにとって進化を示す重要なパーツなのです。